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パズル制作/ニコリ

文/後藤 岳史(映画ライター)
●1990年、アメリカ映画 
●監督/ペニー・マーシャル 
●原作/オリヴァー・サックス 
●脚本/スティーヴン・ザイリアン
●出演/ロバート・デニーロ、ロビン・ウィリアムズ、
マックス・フォン・シドー
●価格
 DVD¥2,625(税込)[期間限定価格]
 VHS¥2,528(税込)
●発売・販売
 (株)ソニー・ピクチャーズ
 エンタテインメント
 学究肌の医師セイヤーは研究医を募集していると勘違いして、慢性疾患の患者が入院しているブロンクスの病院に赴任する。病院側は臨床医を求めているのに…。この慌て者が一人の患者との出会いによって忘れ難いひと夏を送る。
 『レナードの朝』はその“目覚め”の出来事を伸びやかに、温かい人間味を込めてつづった実話物語だ。原作はO・サックス博士の実体験に基づくノンフィクション。
 長期入院中の患者たちが発症した嗜眠(しみん)性脳炎は、かつて1920年代に流行し、当時は“眠り病”とも呼ばれたらしい。外界への反応ゼロ、よって彼らは何も考えていない“人間の抜け殻”にちがいない、というのが臨床医たちの長年の定見だった。医療スタッフによって“水と栄養を与える庭”とも自嘲される病院で、セイヤー医師は無力感にさいなまれつつもその定説をくつがえしてゆく。所詮、経験値の低い新任医師が意気込むあまりの勇み足さ。そう院長たちが一笑に付すなか、窓の景色なりボール遊びなり音楽なり、それぞれ特定の対象に患者が小さな興味を示し、工夫をすれば彼らの眠れる行動意志に活力をも与えうることを彼は発見してゆくのだ。
 子どものころに発病して以来30年間も隔絶状態にあったレナードが、セイヤー医師のひらめきと母親の決断による危険覚悟の投薬を介して人間界に帰還する。長髪とミニスカートとロックンロールの時代、1969年に昔の少年の心のまま目覚めるレナード役ロバート・デニーロ。微笑みをもって彼を迎える医師役ロビン・ウィリアムズ。ともに当代一の性格俳優の好演を得て、この真夜中のシーンは染みるような静けさに満ち、深々と胸を打つ。人知れず闘い続ける患者の心のありかを持ち前の愛情と洞察力で探る、セイヤーは有能な精神科医だ。そのくせ人づき合いが極端に下手で、唯一の理解者だった看護師エレノアにも真心を打ち明けられない。レナードとの出会いを通し、彼もまた“目覚め”るのである。
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